2017年11月2日木曜日

【参加レポート】とやま帰農塾・立山塾2日目後半

とやま帰農塾・立山塾2日目の午後からは、立山町に移住し、蛭谷(びるだん)和紙をたった一人で継承している川原さんにご指導いただき、和紙作りの体験をします。
和紙作りと聞いてまず思い浮かぶのは、こちらの映像かと思います。
しかし、これは和紙作りのほんの一工程。
和紙作りのことをちゃんと知ってほしい、ちゃんと体験してほしい、という思いで、川原さんは和紙作りのすべてを教えてくれました。

まずは、和紙に必要な原材料の調達から。和紙は楮(こうぞ)とトロロアオイを原料として作られます。
楮は、幹を刈り取り葉を落として収穫。
日本での楮の生産量は和紙の消費量の低下とともにどんどん減ってきているのが現状。
国産の楮で和紙をすくという本来のやり方を実践しようと、川原さんはご自身で楮を育てています。
楮は動物の被害にあわないため、土地をあらされる心配はありません。
「里山に楮ベルトを張ることで、動物たちの暮らす山と、人間が暮らす里との境界を作ることができればと思っています。」
ただ原料採取のためというのではなく、里山の原風景を守るためにも楮畑を広げていこうとしている姿に感銘を受けました。

続いてトロロアオイの収穫へ。
トロロアオイはオクラの一種で花オクラともいい、食用の花としても流通しています。
和紙の原料としては、根っこの部分を使います。
引き抜いて根っこを切り落としていきます。強く根を張っているものは引き抜くのも一苦労。みんなで協力して収穫を終えました。
これで和紙作りセットの準備が整いました!これが紙になるとは想像も付きません。和紙作りについて知らないことばかりだったな、と痛感しました。

虫谷(むしたに)地区にある工房に移動して、いよいよ和紙すき体験です。
こちらは、先ほどの楮の表皮をむいて、中の繊維をゆでて水につけてあるもの。
この繊維を叩いてほぐしていきます。このほぐし具合で和紙の風合いが変わるので、注文に応じて調整するそう。
この繊維を水につけたのが和紙のもとになりますが、それだけでは和紙は作れません。
ここで登場するのがトロロアオイです。
根っこを叩いて水につけるとこの粘りが出ます。
この液体を楮の液に足すと、楮の繊維が全体にいきわたって固定され、繊維と繊維がうまく絡むようになります。
いよいよ和紙すき。川原さんにお手本を見せてもらいます。
楮とトロロアオイの液をすくって満遍なく広げます。
よく見ると、繊維が絡み合っているのが分かります。
大きな繊維を残して風合いを出したり、細かい繊維のみでさらっとした和紙に仕上げたり。

続いて塾生も。初心者にはなかなかやらせてもらえない、実際の大きさでの和紙すきを体験させてもらえることに!
川原さんは簡単そうにしていますが、いざやってみると水に遊ばれて腕が持っていかれるような感覚。
プルプル震えてしまいます...
それでも何とかやり遂げました。
すべての和紙を重ねて重石をのせて水分をぬきます。和紙を重ねても、一枚一枚は独立して繊維が絡み合っているので、くっつく心配はないのだそう。
やってみないとわからないことばかり。本当に勉強になりました。

水分が抜けるのを待つ間、川原さんの作品を見せてもらいました。
和紙を現代でも使ってもらえる形にしようと、常識にとらわれず様々な分野とのコラボレーションをしています。
新しいことを取り入れているのも、伝統文化を未来に継承しようという思いがあるからこそ。川原さんの熱い思いに、塾生も熱心に聞き入っていました。

さて、和紙作りも最後の工程へ。
水分が抜けた紙を一枚一枚はがし、川原さんお手製の鉄板で完全に乾かしていきます。
乾いたら、はがして完成!
最初から最後まで実際の作業をやることで、和紙づくりの繊細さや面白さが存分に味わえました。
この工房も川原さんの手作り。冬の間に和紙すき作業を進めていきます。

中身の濃い和紙作り体験を終え、夜は虫谷地区のゲストハウスで交流会です。
立山町に移住して、農産物加工のお仕事をしている川端さんが、地元の食材を使ったお料理をたっぷり用意してくれました!
川原さん一家も交流会に参加してくれました。

虫谷地区は小さな地区ではあるけれど、小さな地区だからこそのよさもあります。
「自分がやりたいと思っていることを理解してもらうには、一軒一軒あいさつして回れるくらいのこの地域がちょうどよかったんです。」
川原さんの奥様は越中瀬戸焼の陶芸作家さん。また、虫谷地区に移住した漆職人の方もいます。
思いを持った人たちが集まり、地域に新しい輪を生み出している。
伝統文化に携わる人々のパワーを感じた1日となりました。(富山県定住コンシェルジュ一条)


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